
こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは不動産を専門としており、宅建業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。
今回は宅建業免許を取得するメリット・デメリットについて解説いたします。
宅建業免許の取得には、多くのメリットがある一方で、無視できないデメリットやハードルも存在します。本記事では、その両面を徹底的に解説いたします。
「不動産ビジネスを始めたい」「不動産投資の知識を活かして独立したい」そのように考える多くの方が最初に直面するのが「宅建業免許」の壁です。この免許は、単なる許可証ではなく、不動産取引を合法的に、そして信頼性を持って行うための「パスポート」とも言えます。
本記事では、宅建業免許を取得することで、みなさまが知るべきメリットを最大限に活かし、同時に潜むデメリットや課題にどう向き合うべきか、お伝えします。
宅建業免許を取得する「メリット」
宅建業免許を取得するメリットは主に3点あります。その3点とは「①広がるビジネスチャンスと収益機会」、「②社会的な信用力の獲得」、「③業界情報へのアクセス権」です。
- 広がるビジネスチャンスと収益機会
- 社会的な信用力の獲得
- 業界情報へのアクセス権
上記のメリット3点について1つずつ詳細を解説いたします。
① 広がるビジネスチャンスと収益機会
宅建業免許があれば、不動産売買の代理・仲介、不動産交換の代理・仲介、不動産賃貸の代理・仲介、不動産管理などの幅広い事業が可能になります。(不動産管理のみであれば宅建業免許は不要です)
これらの事業を行うことで、仲介手数料や管理手数料などの安定的な収益源を確保することができます。また、宅建業免許の枠を超えて、不動産コンサルティングや建設業など、専門知識を活かした新たなビジネス展開も視野に入れることができます。
このような事業基盤を作ることで、事業規模の拡大、従業員の増加、多角的な事業展開への足がかりとなります。また、優秀な人材の採用においても、宅建業免許事業者であることは大きな魅力となります。
② 社会的な信用力の獲得
宅建業免許は、国や都道府県が定めた厳しい基準(人的要件、物的要件、財産的要件など)をクリアした企業にのみ与えられます。これにより、「この会社は法律に則って、健全な事業運営を行うことができる」という公的な証明となります。
また、宅建業法に違反した場合には重い罰則があるため、免許を持つことは「非合法な行為を行わない」という最低限の信頼の証となります。
宅建業免許を取得すれば、名刺やウェブサイトに免許番号を記載でき、顧客や金融機関、取引先からの信頼度が格段に向上します。これは不動産取引のみではなく、自社の他の商材を売買する際においても非常に重要な要素です。
③ 業界情報へのアクセス権
宅建業免許を取得すると、宅建業免許事業者だけが利用できる「レインズ(不動産流通情報システム)」などのデータベースにアクセスできるようになります。
これにより、未公開物件や先行情報の入手機会が増え、ビジネス上の競争力が向上します。また、業者間のネットワークや情報交換が活発になり、新たな取引機会が生まれることも期待できます。
宅建業免許を取得する「デメリット」
続いて、宅建業免許を取得するデメリットです。デメリットは主に2点あります。その2点とは「①免許取得の初期コスト・取得後のランニングコスト」、「②法規制とコンプライアンス遵守」です。
- 免許取得の初期費用・取得後のランニングコスト
- 法規制とコンプライアンス遵守
上記のデメリット2点について1つずつ詳細を解説いたします。
① 免許取得の初期費用・取得後のランニングコスト
免許取得の初期費用
宅建業免許取得の最大の障壁となりうるのが「初期費用」です。
従業員(宅建士保有)を1人雇用した場合、不動産業(宅建業)の開業費用の合計金額は約275万円になります。詳細情報は以下の表のとおりです。
項目 | 金額(開業時) |
---|---|
会社設立費用 (登記・定款等) | 約30万円 |
宅建士登録費用 | 3万7千円 |
宅建業免許申請手数料 (東京都の場合) | 3万3千円 |
保証協会の加入費用 (ハト・ウサギのいずれか) | 約120万円 |
地代家賃 | 約10万円(賃料)+ 約30万円(敷金・礼金・仲介手数料等) |
人件費 | 約25万円 |
その他初期費用 (デスク・椅子・電話・パソコン・プリンター等) | 約50万円 |
合計 | 約275万円 |
取得後のランニングコスト
不動産業(宅建業)のランニングコストは約480万円(年額)になります。詳細情報は以下の表のとおりです。
項目 | 金額(年額) |
---|---|
広告費 | 約30万円 |
保証協会の年会費用 (加入したハト・ウサギのいずれか) | 約8万円 |
地代家賃 | 約120万円(約10万円×12ヶ月 ) |
人件費 | 約300万円(約25万円×12ヶ月 ) |
その他ランニングコスト (電話・水道光熱費等) | 約24万円(約2万円×12ヶ月 ) |
合計 | 約480万円 |
免許取得の初期コスト・取得後のランニングコストの詳細については以下記事を参照してください。

② 法規制とコンプライアンス遵守
こちらはデメリットとは言えない可能性もありますが、他の商取引よりも厳しく、法令・コンプライアンスを遵守する必要があります。
免許申請者(法人の場合は役員全員)、政令で定める使用人等が、過去の犯罪歴や不正行為がないかといった「欠格事由」に該当しないことが求められます。欠格事由に該当すると免許が取り消しになる可能性が高いので、法令順守を徹底する必要があります。また専任の宅地建物取引士も宅建士証の欠格事由に該当してはいけません。
他にも宅建業免許事業者になると、以下の5つを実施する必要があります。
- 従業者証明書の携帯
- 従業者名簿の備付義務
- 宅地建物取引業者票の掲示義務
- 報酬額票の掲示義務
- 各種届出
宅建業免許取得後に実施する必要のあることの詳細については以下記事を参照してください。

こちらも宅建業法で定められているので、必ず実施する必要があります。
まとめ
今回は宅建業免許を取得するメリット・デメリットについて解説いたしました。まとめると以下のとおりです。
- 広がるビジネスチャンスと収益機会
- 社会的な信用力の獲得
- 業界情報へのアクセス権
- 免許取得の初期費用・取得後のランニングコスト
- 法規制とコンプライアンス遵守
メリットを最大化し、デメリットを乗り越えるための戦略として、専門家(宅建業免許に精通した行政書士等)と連携しながら、宅建業免許取得を目指してみてはいかがでしょうか。
以上です。ご参考になりましたでしょうか。
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