こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは産廃許可・建設業許可を専門としており、産廃許可に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。
今回は優良産廃処理業者認定制度の特徴や認定要件について解説いたします。
優良産廃処理業者認定を得ると様々なメリットがありますので、産業廃棄物処理業者(※)の方は本記事を参考にして、是非検討してみてはいかがでしょうか。
※「産業廃棄物処理業者」とは、「産業廃棄物収集運搬業者」、又は「産業廃棄物処分業者」のことを指します。
優良産廃処理業者認定制度とは?
優良産廃処理業者認定制度は、優良な産業廃棄物処理業者を評価し、産業廃棄物の処理の適正化を図ることを目的として、平成 22 年の廃棄物処理法改正により創設されました。
具体的には、産業廃棄物処理業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者の基準に適合する産業廃棄物処理業者を都道府県知事・政令市長が認定しています。
優良産廃処理業者の認定を受けると、通常5年の産業廃棄物処理業の許可の有効期間が7年になり、更新にかかる費用を削減することができます。メリットの一覧については次章をご覧ください。
優良産廃処理業者認定制度の認定を受けるメリット
優良産廃処理業者認定制度の認定を受けるメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 許可証等を活用したPR
- 産業廃棄物処理業の許可の有効期間の延長
- 申請時の添付書類の一部省略
- 財政投融資における優遇
- 環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約での有利な取扱い
上記5つのメリットの詳細について、それぞれ見ていきましょう。
① 許可証等を活用したPR
優良認定を受けた産業廃棄物処理業者(優良認定業者)には、その旨が記載された許可証が交付されます。
また優良認定業者の情報は、「産廃情報ネット」や「優良産廃処理業者ナビゲーションシステム(優良さんぱいナビ)※」等により、排出事業者等の関係者に広く紹介され、新規ビジネス創出の可能性が上がります。
※優良産廃処理業者ナビゲーションシステム(優良さんぱいナビ)とは、産業廃棄物を排出する事業者が、産業廃棄物の適正処理に向け、有益に活用できるように優良産処理業者の絞り込み検索を可能とした情報発信システムです。
本システムで情報発信できる産業廃棄物処理業者は、優良認定業者に限定されるため、それが優良認定取得のインセンティブになっています。
② 産業廃棄物処理業の許可の有効期間の延長
優良認定業者については、通常5年の産業廃棄物処理業の許可の有効期間が5年から7年と延長されるため、許可の更新に関する事務負担軽減につながります。
③ 申請時の添付書類の一部省略
優良認定業者については、都道府県・政令市の判断により、産業廃棄物処理業の許可の更新の申請や、事業範囲の変更時の許可の申請をする際に都道府県・政令市に提出する書類のうち、以下のものを省略できる可能性があります。
(対象の書類は都道府県・政令市により異なります。)
- 事業計画の概要を記載した書類
- 直前3年の財務諸表、法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類
- 定款及び寄附行為
- 処分後の産業廃棄物の処理方法を記載した書類(産業廃棄物処分業・特別管理産業廃棄物処分業についての申請時のみ)
④ 財政投融資における優遇
例えば、株式会社日本政策金融公庫においては、中小企業が産業廃棄物の処理に関連する施設を取得するために必要な資金の融資を行っている(環境・エネルギー対策貸付制度)。
優良認定業者については、この貸付制度において、通常の場合よりもさらに低利率で融資を受けられる。
⑤ 環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約での有利な取扱い
産業廃棄物の処理に係る環境配慮契約では、「環境配慮への取組」及び「優良基準への適合状況」等をポイント制で評価し、一定の点数を上回る事業者に入札参加資格を与えることとされています。
この「優良基準への適合状況」においては、優良産廃処理業者認定制度の優良基準に相当する「優良適性(遵法性)」、「事業の透明性」、「環境配慮の取組」、「電子マニフェスト」、「財務体質の健全性」の5項目(標準の配点例では1項目につき 10 点獲得)が評価項目として設定されているため、優良基準適合事業者が有利となる仕組みになっており、優良認定業者はこれら5項目の個別評価を省略できます(標準の配点例では 50 点獲得)。
優良産廃処理業者認定制度の認定要件
優良産廃処理業者認定制度の認定を受けるには、以下の5つをすべて満たす必要があります。
要件 | 要件の概要 |
---|---|
① 遵法性 | これまでの産業廃棄物処理業の許可の有効期間又は当該有効期間を含む連続する5年間のいずれか長い期間において特定不利益処分を受けていないこと。 |
② 事業の透明性 | 法人の基礎情報、取得した産業廃棄物処理業等の許可の内容、廃棄物処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物の処理状況等の情報を、一定期間継続してインターネットを利用する方法により公表し、かつ、所定の頻度で更新していること。 |
③ 環境配慮の取組 | ISO14001、エコアクション 21 等の認証制度による認証を受けていること。(※) |
④ 電子マニフェスト | 電子マニフェストシステムに加入しており、電子マニフェストが利用可能であること。 |
⑤ 財務体質の健全性 | 以下の4つのすべてを満たすこと。 1.直前3年の各事業年度における自己資本比率が0以上であること。 2.次のイ又はロのいずれかの基準に該当すること。 イ 直前3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が 10 %以上であること。 ロ 前事業年度における営業利益金額等が0を超えること。 3.直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が0を超えること。 4.産業廃棄物処理業等の実施に関連する税、社会保険料及び労働保険料について、滞納していないこと。 |
※ISO14001、エコアクション 21 の概要については、以下のとおりです。
機構 | 概要 | 特徴 | メリット |
---|---|---|---|
ISO14001 | 環境リスクの低減および環境への貢献を目指す環境マネジメントシステムの国際標準化機構の規格です。 | ・大企業向け ・高予算 (約100万円) | 企業としてのブランドイメージや信頼性が向上し、また環境関連のリスクを未然に回避することが可能となります。 |
エコアクション21 | 環境省が策定した環境マネジメントシステムのことで、組織や事業者等が環境へ配慮した取り組みを主体的・積極的に行うための方法を定めたものです。 | ・中小事業者向け ・低予算で導入可能(約30万円) | 取引先や顧客からの社会的信頼を得ることができ、また金融機関から低金利で融資を受けることが可能となります。 |
ISO14001、エコアクション 21の認定を受けると、経営事項審査(経審)の点数もアップするのでおススメです。
(詳細は以下の記事を参照してください。)
まとめ
今回は優良産廃処理業者認定制度の特徴や認定要件について解説いたしました。認定を受けるメリットは以下のとおりです。
- 許可証等を活用したPR
- 産業廃棄物処理業の許可の有効期間の延長
- 申請時の添付書類の一部省略
- 財政投融資における優遇
- 環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約での有利な取扱い
優良産廃処理業者認定を得ると上記のように様々なメリットがありますので、是非認定の検討をしてみてはいかがでしょうか。
以上です。ご参考になりましたでしょうか。
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