遺言書の必要性
遺産相続では法定相続よりも遺言による相続が優先されます。よって、残された方に自分の意思を明確に示す(=遺言書を作成する)ことで相続のトラブルを未然に防ぐことができます。
特に遺言を残しておいた方が良い事例をいくつかご紹介します。
① 特定の人により多くの財産を残したい
例えば「妻に全財産を相続させる」と遺言をしておけば、被相続人の父母が遺留分を主張しても全財産の6分の5を相続させることができます。相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合、遺留分はないため、全財産が配偶者に渡ります。
非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同等です。これと異なる相続をさせたい場合は遺言で相続分や財産の分割方法を指定しておくことをおすすめします。
再婚をしていて、現在の妻にも先妻にも子どもがいる場合や子どもに法定相続分とは異なる相続をさせたい場合は、遺言で相続分や財産の分割方法を指定しておくことをおすすめします。
② 相続権のない人に財産を残したい
法律上の婚姻関係にない相手に相続権はありません。内縁の相手に財産を譲るには遺言が必要です。
生前に認知できなかった子どもを遺言で認知しておくことで、子どもは相続権を得ることができます。
家業を継続するために後継者を指定し、その人が経営の基盤となる土地や店舗、工場、農地等を相続できるようにすることができます。
特にお世話になった子どもの配偶者や知人などに財産を譲りたい場合、また相続人でない孫や兄弟姉妹にも譲りたい場合に、そのように遺言することができます。
相続人がいないときは、財産は国庫に帰属します。特定の人に遺贈したり、特定の団体に寄付をしたり、財産の処分方法を遺言することができます。
次に、遺言書にはどのような方式があるのでしょうか。代表的な3つの方式についてそれぞれ説明していきます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言の特徴は下記のとおりです。
- 必ず全文、日付、氏名を自筆で書く必要があります。
- 財産目録については自筆である必要はなく、パソコン作成でも可能です。
(※全頁に署名・押印が必要) - 日付、氏名、押印のいずれか一つでも欠けると無効になります。
- 書き間違いや修正をするにも決められた方式があります。
- 死後は原則として、家庭裁判所の検認が必要です。
メリット・デメリット
- 費用がリーズナブル
- 一人で完結できる
- 無効になる可能性がある
- 死後見つからない可能性がある
公正証書遺言
公正証書遺言の特徴は下記のとおりです。こちらの方式が実務上最も適用されています。
- 公証役場で証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口述して作成します。
- 遺言書は公証役場に保管されます。
- 死後の家庭裁判所での検認は必要ありません。
メリット・デメリット
- 無効になる可能性が著しく低い
- 家庭裁判所での検認が不要
- 費用・時間がかかる
- 証人が必要
秘密証書遺言
秘密証書遺言の特徴は下記のとおりです。こちらの方式は実務上適用されている例はあまり多くはありません。
- 遺言書の内容の秘密を守りながら、遺言の存在を明確にすることができます。
- 本文は代筆、パソコン作成でも良いが、署名は自筆に限ります。
- 死後、家庭裁判所の検認の手続きが必要です。
メリット・デメリット
- 誰にも知られない(公証人含む)
- 自筆でなくても良い
- 無効になる可能性がある
- 死後見つからない可能性がある
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